「AB型って、誰かいないのか?」






































付き合いましょう






































以前、読んだ本に書いてあったと、彼女が言った。

どうやら、血液型で、相性のよさそうな、AB型と付き合ってみたいらしい。














(阿呆か。)















本当に、そう思った。

阿呆じゃないのか。我が友人よ。

そんなので、決めてしまって、本当に良いの?

しかし、本当にそうだとしたら、他の人達も、上手くいっている筈じゃないの?









だって、そうでしょう?

違うのかな。

別れないとでも、言うのだろうか。







、私は、頭の片隅に置くのは、構わないけれど、その本の全てを信じるのは、どうかと思うな。






















いる事は、いるけどさぁ・・・。


















































「おぅ。


俺は、偶然会ったに声を掛けた。


「なんだ。仁王か・・・・。何か用か?」



別に、用って程じゃないんだが。

偶然会ったし、顔を見たかったから、話し掛けてみた。ただ、それだけ。



「あぁ、そうだ。仁王、誰かAB型の奴知らないか?捜しているんだが、なかなか良い奴がいない。」


「・・・・・・・・何で?」






が、捜しているなんて珍しい。

一体、どんな風の吹き回しか。



「あぁ、私もそろそろ、恋人を持とうと思ってな。高校生にもなって、恋人がいないのも、淋しいだろう?」


「こい・・・・びと・・?」


何だか知らないけれど、胸が痛くなった。













(何じゃ・・・?この痛みは。)






気になった。だけど、答えが出てこなかったから、考える事を止めた。

気が付けば、痛みがなくなっていた。

きっと、気のせいだったのだろう。



「なぁ、いないか?いないなら、他を捜すしかないんだがな。」


の言葉に、我に返る。

AB型が良いって言っていたな。

誰か、いたかの。














































「あぁ、いたいた。、お前にピッタリの男がおるけぇ。」


「何?本当か??嘘だったら、今すぐにでも、三途の川を見せてやるからな。」


いや、見たくない。

まだ、十代の俺に、三途の川を見せるのは、止めて欲しい。


「で?誰なんだよ。私に、合う奴っていうのは。」










































「俺。」


笑顔で、即答する。






そう、俺は、AB型じゃ。

ルックスも、性格も、悪くないと自分で思う。

これ以上の男は、そうそういないじゃろ。
















































「断る。」














の答えは、NOだった。


正直、嘘かと思った。


俺の誘いを、断る?


俺と、付き合わないって??



「お前、恋人は?」


「あぁ・・・・まぁ、(遊びの女が)おる。」


「ならば、もっと却下だ。済まないが、お前は候補にいれられない。じゃ、済まないな。大事な時間を盗ってしまって。」



は、そう言うと、俺の横を通り過ぎて行った。