断られたのは、初めてだった。




















































付き合いましょう


















































ショックだ。




本当に、ショックだった。

何がショックだったか。









それは、に断られた事。









普段なら、別に気にしない。

それならそれで、他を当たれば良いだけの事だから。



















(おかしいのぅ・・・・何なんじゃ?)























調子が、狂う。

こんなに、狂った事は先ずないと思う。


















































「断られた?へぇ、良かったんじゃね?お前に付き纏われたら、妊娠するんだろぃ?」




「ブン太、お前は馬鹿か。付き纏った位で、妊娠なんかせん。勉強し直してこい。」









そうだ、妊娠なんか、するか。

触れただけだろ?そんな事だったら、誰だって妊娠している。











「に、しても。どうして気になるんだよ。」


「知るか。分からんから、相談しとるんじゃろ。全く・・・。」










あぁ、本当に苛々する。

分からないから、腹立たしい。

気にしない事を、珍しく気にしたりするからだ。















馬鹿馬鹿しい。















本当に、馬鹿馬鹿しい。

なんで、こんなに馬鹿を見るのだろうか。



「さ、テニステニス。気にすんなよ。したって仕方が無いってのが、お前だろ?」



「ふん・・・・そう思っても、気になってるから苛々するんじゃろうが。」



俺は、仕方なくテニスの練習を始める。

だが、そんな簡単に集中できる筈もなく。俺は、始終、真田に叱られてばかりだった。






















































「おい、仁王。今日のお前は可笑しいぞ。何かあったのか?」



「真田に言っても、どうにかなる訳じゃなか。」



そうだ。真田は、上手くいっている。

テニスだって、学校生活だって、私生活も・・・・・・・。




























































じゃあ、俺は?























































答えは、出なかった。






充実していると、勝手に思っていただけなのだろうか。

テニスも、女も、学校も、休日も・・・・・充実していたんじゃないか?

全てが上手くいっていて、何も不満なんか無かった筈。










何かが、足りない?








何が?








俺に、何がないのだろうか。

ふと、校舎の方に視線を向ける。

俺の視界に、彼女が入る。

だが、気付かない彼女は、俺を見る事をしない。






















































“断る”












































胸が、痛くなった。

呼吸が、しにくくなってくる。




「仁王君?どうしたんですか。真っ青ですが・・・・。」



「なんでもなか・・・・済まん。休む。」



俺は、テニスコートを後にし、彼女のいる校舎へと向かう。




















































!!」



「何だ。仁王・・・・お前、部活はどうした。」



俺は、の元へと走っていた。

を見たら、何故かホッとした。



「俺と、付き合わんか?」






「断る。」







は、俺を見つめたまま、拒否の反応を示した。







そんなに、俺が嫌なのだろうか。





この悔しさは、何なのだろうか。






この哀しさは、どうしたのだろうか。












「なぁ、他に女なんか作らない。遊びもしない。俺は、お前だけを見る。

約束する。大切にするから。泣かせたりもしない。傷付ける事も。幸せな気分にさせる。

自信があるかどうか・・・それは、付き合ってみなければ分からない。後悔は、させないから。だから・・・だから、俺と付き合って・・・・。」















































馬鹿みたいだ。

こんなの、俺じゃない。

今までの俺からは、考えられない事をしている。


















「何故?なぁ、どうして付き合わないといけないんだよ。」



「そ、それは・・・・。」





それは・・・・・・。


























































「お前が・・・・が好きなんじゃ!!!」