二人が出会った事は・・・・運命なのだろうか。
〜Fate〜
『お前は今まで何をやっていたんだ!!』
柳生と一緒に学校に戻って来て、真田に言われた第一声。
怒鳴られた。予想通りの展開だった。
『…』
怒鳴られているのに仁王はどこかやる気が見られない。
(また会いたいの)
の事で頭がいっぱいだった。
『〜〜〜〜っ。聞いているのか!仁王!!』
上の空な仁王に、真田はますます怒りを激しくした。
『最近のお前はたるんどる!気合いをいれろ!!!』
『はいはい』
仁王は駆け足で真田から立ち去った。
気合いを入れるためにランニングを始めたが頭の中は別の事ばかりだ。
(…いっその事、俺が向こうに…)
考えた事に無理かと突っ込みを入れた。
『全く!最近の仁王はどうしたんだ!!柳生、お前のパートナーなんだから何か
知っているんじゃないのか?』
真田は苛々しながらも、柳生に尋ねた。以前よりもますますやる気が抜けている。
こんな状態が続けば、幸村に殺されてしまう。
『…しいて言うなら恋の病ですね』
ではランニングに行きます、と柳生は駆けていった。
『……氷帝に行くなら行ってみたら如何です?』
仁王に追い付いた柳生は、彼に提案をしてみた。
『…そぉは言っても、向こうが会いたがらないと行っても無意味じゃ…。』
いつもより弱々しい仁王を柳生は初めて見た。
『それなら、諦めるしかありませんね。運命じゃなかったと……。』
弱音をはくとは……本当に仁王君なんですかね。と柳生は疑いたくなった。
『…いや!運命じゃて』
柳生のセリフは納得したくないらしく、認めなかった。
『何処がどうして運命と感じたんです?』
どうも私にはよく分かりません……と柳生は尋ねる。
『…詐欺師の勘?』
仁王は柳生に訪ね返した。もちろん柳生は溜め息で返す。
『詐欺師の勘ですか。それならば、その運命とやらは嘘ですね。
私には信じられませんよ。』
仁王雅治としての勘なら少しは信じるかもしれませんが。と柳生は呟く。
『…恋は辛いのぉ。』
仁王はふてくされてしまった。
そんな時、仁王の携帯が鳴った。
『仁王君、携帯が鳴ってるみたいですよ?』
『ん?誰じゃろ…。』
携帯を取り出すが、知らない番号だった。
『悪戯電話………ですかね?』
柳生は、仁王の携帯のディスプレイに写っている番号を覗き込んだ。
『…まさか。』
仁王は、直感で出てみた。
『もしもし…?』
『出るのが遅い。』
声の主はどうやら女らしい……。
『…?』
仁王はにやけてしまった(笑)
『そうそう。驚いたか?さっき会った時携帯の番号見ちゃってな。』
いつの間に見たんだ……。携帯……。
『…びっくりした。』
仁王は、正直な感想を言った。
は電話の向こうで笑っている。
『フフン……そうだろう?メールでも良かったんだがな、やはり電話にした。』
部活真面目にやってるのか?と仁王に尋ねる。
『…あぁ。がんばっとるよ。』
の声が聞けたから、もっと頑張るとこじゃ。
と仁王は見えない彼女に笑いかける。
『お前って……本当に面白いヤツ。今度は氷帝にも遊びに来いよ。』
と仁王に氷帝に来る様に命令(え?)をする。
『俺が?』
本気なのかと、仁王は聞き返す。は、来いよとだけ言う。
『じゃあな。来る気があるならいつでも待っててやるよ。』
そう言い残し電話を切ってしまった。
『………なんでした?』
と柳生は仁王に尋ねる。
『…だった。』
仁王は、その場に座り込んでしまった。
『だ、大丈夫ですか!?』
柳生は心配になって声をあげた。
『何か言われたんですか?』
相当酷い事を言われたのだろうか?柳生は、仁王を心配した。
『…氷帝に来いじゃと。』
あっけに取られた柳生は、すくっと立ち上がった。
そして、『…大丈夫そうですね』と、溜め息をついた。
『おい、弦一郎が集合をかけたぞ。試合についてミーティングだそうだ。』
座り込んでいる仁王と、立ち上がり呆れている柳生の元に柳がやってきた。
『はいはい。』
仁王は立ち上がり、砂を払った。
『………というわけだ。決勝戦まで後一週間気を抜くんじゃないぞ!』
幸村の為にも!と真田は大声で叫ぶ。
『…おんちゃん、幸村と出来てるんかい。』
仁王はボソッと囁く。
『夢じゃないんじゃな。』
真田の目を盗んで、携帯の着信履歴を視る。
『仁王!!携帯を取り上げるぞ!!!』
全く話しを聞いていない仁王に気付いた真田は、彼の携帯を取り上げてしまった。
『何もとらんでもいいじゃろ。』
仁王は軽く真田をにらむ。
『お前、最近氷帝の女と仲が良いみたいだな。遊ばれているんじゃないか?
氷帝はその女を利用してうちの戦力を低下させている可能性があるしな。』
と柳が口を挟む。
『…そんな事ない!!』
仁王は叫んで我に返った。詐欺師の俺が…。
仁王はやるせなさから走ってコートを後にした。
『やれやれ。弦一郎、今日はお開きにした方が良いんじゃないか?』
『そうだな。蓮二、氷帝の女にもう仁王と会うなと言っておけ。』
立海の優勝を邪魔する奴は迷惑だからな……。真田は、仁王から奪い取った携帯
のディスプレイに写っている番号を見ながら言った。
部室に着いた仁王は着ていたジャージを脱ぎ、制服に着替えた。
『…明日携帯取り替えさな。』
仁王はぶつぶつ呟いた。
翌日、真田は朝練の時に昨日奪った携帯を仁王に返した。
『良かったですね。』
柳生は、仁王の肩を軽く叩いた。
しかし、着信履歴にも電話帳にも昨日までは載っていた番号は見つからない。
『…。』
仁王はやるせない怒りがこみあげてきた。
『…柳生、今日さぼるわ。』
柳生の肩を叩くと、仁王は教室から飛び出した。
『ちょっ……仁王君!!』
また怒られますよ!!と柳生は叫んだが、少しばかり遅かった様だ。
教室を飛び出した仁王は、そのまま駅に向かい電車に飛び乗った。
『…このまま行ってやる。』
『あ〜ぁ……。怒られてしまったよ。』
ブツクサと文句を言いながらマネージャーの仕事をこなす。
そんな時、の視界に白髪が入った。
『…よぅ。来たぜよ。』
仁王はに手を振る。
『………仁王。』
まさか、本当に氷帝に来るとは思わなかったのか
驚きながらも仁王に近付いた。
『なんじゃ?その顔は』
仁王は驚いているの頭を撫でた。
『あ……いや。部活は?休みなのか??』
副部長に会うなって言われたんだがな……困ったと思いつつ、仁王に聞いた。
『…さぼった…。』
仁王はの一言に悲しい顔をする。
『さぼる俺は嫌われるかの?』
わざとの前にずいっと出る。
『……その位で嫌う奴がいるのか?』
いつもの表情に戻り、仁王に質問する。
『…ただお前に会いたかったんじゃよ。』
軽く微笑みながら、頭を撫でた。
『……………昨日、お前にもう二度と会うなと言われたよ。』
お前と私は敵同士の学校だからな。困ったもんだ。と苦笑いをする。
『!?』
仁王は、そのセリフに凍った。
なんで周りに邪魔されなきゃならないんだ、なぜ!?頭の中がぐるぐる回る。
一呼吸おいて、混乱している仁王に向かってこう言った。
『仁王、もう会うのはやめよう。』
『…いやじゃ。ついこの間会ったのにもう会うな!?俺は嫌だ。』
仁王は、今にも泣きそうだ。
愛しい、運命の相手が見付かったのにもう会えないなんて…。
参ったな……と思いながらも話しを続ける。
『我が儘言うなよ……。仕方ないだろ?会うなって言われたんだし、お前だって
会わなくなったらすぐに私の存在わすれるさ。』
『…忘れる訳ない!』
仁王はの肩を力強く掴んだ
『…………痛い。なぁ、頼むから言う事聞いてくれよ。
別に恋人でもなんでもないんだからさぁ。』
肩を掴んでいる仁王の手を退かしながら彼に向かって
会うのはやめようと再度言う。
『…じゃあ、俺の恋人になれよ。』
どうすればお前は俺のものに?会えなくなったら俺は…再度泣きそうな顔をする仁王。
『冗談言うなよ、詐欺師。お前と私は敵同士なんだよ。
周りから反対されて疲れるだけだ。』
そう言って仁王の発言を真に受けない。
『…』
『!?』
仁王の頬に、一筋の涙が流れた。
予想もしなかった状況にかなり驚いた。
『な……んで…泣くんだ?』
『…お前と会えなくなるのが嫌じゃ。嫌だ』
仁王は子供みたいに泣き出した。
『……仁王……世の中自分の思い通りにならない事があるんだよ。』
嫌だって言われてもな……と困った表情になる。
『…すまん。』
仁王は目をごしごし擦り出す。
『泣いて別れるより最後は笑って別れた方が気分いいだろ?』
笑えよ、仁王。と言って彼の頭を軽く撫でる。
『…。』
仁王は分かったと苦笑い的な笑顔を見せた。
『じゃ、練習頑張れよ。』
校門まで仁王を見送りに来て、短い間だったけどお前に会えて良かった……と呟いた。
仁王は、振り返った。そのが放ったせりふに。
『…俺はお前無しじゃ生きられん。今は会えなくなるが、忘れたりはせん。お前が好きだ…』
仁王はの頬にキスをすると、向き直り手を力無く振った。
『生きられない……か…。』
ポツリ…と呟きながら仁王を見送った。
『仁王、弦一郎がかなり怒っているぞ。何処に行っていたんだ。』
立海に帰って来た仁王に、柳は近付いた。
『…どこでもいいじゃろ。』
仁王は、不機嫌で帰ってきた。
『………随分と不機嫌だな。』
そんなに氷帝の女が良いのか?周りには五万といるじゃないか。次を捜せば良い
事だろ?と柳は言う。
『…俺はあいつじゃなきゃ嫌だ。』
さらっと言うと門に向かう仁王。
『仁王、練習はどうする気だ?』
門に向かう仁王に向かって、柳は叫ぶ。
仁王は黙って、手を振った。
『………全く。』
まぁ、これでテニスに集中するだろう。柳は練習に戻った。
『…は元気かの。』
仁王は、遠くを視ながらつぶやいた。
会いたくてしょうがない。でも会いに行けない。辛くてしょうがない…。
『会いに行けば良いじゃないですか。これじゃあ練習になりませんよ。』
ダブルスのパートナーの柳生は溜息をついた。
『…会いたくても会えんのじゃ…。』
仁王は、ただただ遠くを見つめた。
『全く。その台詞を毎日毎日聞かされてる身にもなってくださいよ。』
柳生はますます深い溜息をつく。
『…練習するか。』
仁王はラケットを持ち、柳生にボールを打てと命令する。
『やる気がなくなる一方で困りますね。これでは逆効果ですよ。』
いきますよ……と言って柳生はサーブを打つ。
『おっ。』
仁王は柳生のサーブを打ち返す。
『どうしたんです?威力が弱くなってますよ。』
柳生は、軽々と仁王の球を返した。
弱い。こんな威力では……と柳生は思った。
『今弱ってるからなぁ。』
まぁ、軽いラリーじゃ。と仁王はまた弱く返した。
『しかし、会わない期間に別の男性が恋人になっていたらどうするんです?』
柳生は、仁王に合わせて返しながら尋ねた。
『…それは嫌じゃが。』
仁王はまた返しながら言う。
『女子校ならば、まだ安心は出来ますが……氷帝は共学の学校ですからね。それ
にテニス部のマネージャーでしょう?』
恋人が出来る可能性は高いですよと柳生は言う。
『そうじゃ…跡部なんか危なそうじゃな。』
仁王はぼそりと呟く。
『強引に恋人にしそうな人ですからねぇ………いくら気が強くても相手は男。
力では勝てないでしょうからね。』
心配は山積みですね。仁王君。と柳生は言う。
『…』
仁王は、不安が増えてしまった。
『彼女も好きになってしまうかもしれないですよ?』
君はまだ好きだと言われていないんでしょう?と柳生は付け足す。
『…!?』
仁王は再度不安にかられた。
『せめて好きか嫌いか……聞いたら如何です?』
と柳生は提案する。
『…よし。』
仁王は、走ってカバンをとりに行く。
『柳生、悪い!』
『上手くごまかしておきますよ。』
見つからない内に早く行ってください。と柳生は仁王を見送った。
柳生に、サンキュと軽く笑うと走っていった。
に会いたいが為に。会ってあることを確認したかった。
『これでやる気になってくれると良いんですがね……。』
柳生は、自分のパートナーが幸せになってくれる事を願った。
氷帝の前に着いた仁王は、門をくぐりテニスコートへ向かう。
部活の時間なんだろうか、ボールを打つ音が聞こえる。
『跡部ぇ……まだ帰らない訳?』
ベンチに座り、ひたすら練習を続ける跡部の背中を見つめながら少し呆れ気味に
言った。
仁王は木の影に隠れてしまった。
(なんで俺は隠れてるんじゃ)
『はぁ……。』
あ〜……早く帰りたい。と仁王がいる事に全く気付かずに深い溜息をつきながら
ボケーッと心の中で呟いてみる。
『…帰るか。』
二人の姿を見るのが辛くて、帰ろうとした。
『おい、こそこそ隠れて女々しい奴だな。いるならさっさと出てこいよ。』
跡部は、練習を一時中断し仁王がいる方向へ向いた。
仁王はその場に立ち止まってしまう。
『…。』
黙ったまま振り向けない。
『仁王……?』
跡部の言葉に驚きながらも、後ろを振り返る。
『お前、コイツにまた会いに来たのか?いい御身分だな。
立海の仁王さんよぉ。』
『…俺はこいつが好きなんじゃ。だから会いに来るのは当たり前じゃろ。』
仁王は不敵な笑顔で跡部に言った。
『そうかよ。その割にはそんなに会いに来なかったじゃねぇの。』
跡部も強気な姿勢は崩さずに仁王を挑発する。
『…どうでも良か。』
の近くに近寄り、久しぶりと声をかけた。
『…………。』
何も言わずに、近付いてきた仁王に抱き着く。
『…どうした?』
仁王はいきなり抱きつかれた事にビックリしたが、平然を装う。
『弱音は余りはきたくないんだがな……会えなくて寂しかったぞ。』
もう会えないと思った位だしな。と苦笑しながら仁王に言う。
『…俺もじゃ。』
仁王は愛しいとを抱き締めた。
『………なぁ、今日家に来ないか?』
泊まって行けよ。と仁王に命令する。
『泊まり?』
仁王は、きょとんとする。いきなりなぜ?と。
『馬鹿だなぁ……一緒にいたいからに決まってんだろ?
ま、無理強いはしないさ。』
さぁて……帰るかな。と仁王から離れる。
『い、行く。』
仁王は子供のようにの後を着いて行く。
着いた場所は、マンション。氷帝から三十分位の場所にある。
『自由気ままな一人暮らし。親は違う場所に住んでるから楽でいい。』
鍵を開けて、どうぞと仁王を招き入れる。
『やけに広い部屋じゃのぉ。』
仁王は部屋に上がり、周りを見渡す。
『そうか?なんなら一緒に暮らすか?』
クックックッ……と仁王をからかう様に言う。
『…いいのぉ。お前と二人なら楽しそうじゃ。』
仁王は、にんまり笑った。
『フン……冗談だ。お前は神奈川、私は東京の学校だしな。それに…反対する奴
がいるだろ?』
”夢のまた夢だよ。仁王。”と苦笑しながら呟く。
『…そうかのぉ。』
仁王は、不敵な笑顔を見せた。
『俺なんかを心配するやつなんかいないぜよ。』
『ふぅん……?柳生とか…皆心配してくれてんだろ?』
首を傾げながらも仁王に尋ねる。
『…柳生なら泣いてくれるかのぉ。』
少し苦笑いをしながら答えた。
『だろ?一人いるのといないのじゃあ大違いなんだよ。
それにしても…あの紳士は男前だな。』
仁王にジュースを渡しながら恋人いるのか?と質問する。
『なんじゃ?俺より紳士の方が好きか?』
仁王は少しむすっとしながら話した。
『お前もいい男だがな……紳士もいい男じゃないか。
どうなんだよ。いるのか?』
後ろから抱き付きながら再度尋ねる。
『いないんじゃないかの。』
内心可愛いと思いながら仁王は答えた。
『そうか。お前は?恋人出来た?』
クスクスと笑い仁王の髪に触れる。
『…ここにいるんじゃないのか。』
仁王は髪をいじるの腕を掴み、頬にキスした。
『何で此処にしないんだよ。』
とは不服そうに仁王の唇を指でなぞる。
『…ん。』
仁王はの頭を後ろから押さえ、深いキスをした。
しばらくして、二人の口が離れる。
『お前……キスするの上手いな。力抜けた。』
お前は色々経験してそうだよなぁ……と呟く。
『…そうかのぉ?』
まぁせっかくだし、とをひざの上にのっけた。
『そういえば……お前とヤると後悔するのか?』
前に後悔するっていったよな?と尋ねる。
『…なんか俺が抱くと乱暴らしくての。』
だから後悔されるんじゃ、と悲しそうだった。
『ふぅん……なら私を抱くのは無しな。抱きたければ違う女を抱け。』
仁王を慰める訳でもなく、かなり厳しい一言を彼に告げる。
『な!?』
仁王は、がっしりとの腰に手を回す。
『大丈夫じゃて。俺だって、お前の事を乱暴には抱きたくない。』
『バーカ。抱いてる時ってのは理性が効かないんだろ?
だから、お前の”乱暴に抱かない”と言う言葉は信用ならん。』
きつい言葉を言いながら、プイッと顔を横に逸らしてしまう。
『…すまんかったって。』
仁王は、申し訳なさそうにの頬にキスをした。
『だから、抱きたければ他の女を抱けよ?欲求不満もそれで満たされるだろ?』
私も、痛い思いはしないし……万々歳だ。
と、今度はニッコリ笑顔を仁王に向ける。
『…他の女なんか抱けるか。』
仁王は、無理矢理の頭を掴みキスをする。
『お前以外抱く気はなか。』
『……………からかい過ぎたか。怒った?』
悪かった。と仁王に素直に謝る。
『…おしおきじゃ。』
仁王は悪魔笑いをしながら、のスカートに手を入れた。
『ちょっ……待て!謝ったじゃないか!!』
顔を真っ青にしながら、仁王の手を慌てて押さえる。
『…ん?』
思いっきり悪魔笑いの仁王。の下着に手をかけた。
『うわっ……ば、馬鹿!!お前なんか嫌いだ〜!!!!』
必死の抵抗も無意味で、彼女の叫びは虚しくこだまするだけだった……。
アーメン。
『…』
仁王は黙って、手を止めた。
『…もう他の女を抱けなんて言わんでくれ…。』
悲しそうに呟きながら、の服を戻した。
『………分かった。抱きたい時は私を抱けよ。』
もう言わない、と仁王と指きりした。
『優しくするぜよ。』
仁王はの耳元で呟いた。
『優しくなかったら二度としてやらん。』
と言いながら、は仁王にキスをした。
『好いとうよ。』
仁王は、の頬にキスをして恥ずかしそうにつぶやいた。
『……お前、初々しいな。恋愛経験あるんだろ?』
恥ずかしがって、可愛い詐欺師だな。とクスクス笑う
『気にしてること言うなよ。』
仁王は顔を少しだけ赤くしながらうつむいた。
『………は?今まで、恋人一人もいなかったのか?』
仁王の反応が予想外らしく、咆驚してしまった。
『…皆、俺の外見しか見ないやつらじゃったし。』
仁王は淡々と話した。
お前が最初で最後の俺の女だ、とを強く抱き締めた。
『最初で最後なんて言ったら……まるで結婚まで決まった様な言い方だな。』
私も外見しか見てなかったらどうするんだよ……と苦笑しながら言う。
『…仁王になってくれんかのぉ?』
昌代の顎に手をかけ、自分の方に向かせた。
『何だ?プロポーズか??』
駄目、減点だ。出直してこい。とは仁王の手を払う。
『…減点かい。』
仁王は、名残惜しそうに手を離した。
『ペアリングくれるなら考えてやるよ。
それと、幸せにしてくれるなら……お前の奥さんになってやる。』
どうだ?と仁王に聞く。
『…幸せにしちゃる。』
の手を取り、甲にキスする。紳士の技だ。
『約束な。お金にも困らない様にしてくれよ?旦・那・様。』
そういって、ニヤリ……と笑う。
『こりゃ一生懸命働かなきゃだな。』
仁王も笑って答えた。
『フフ……ま、私が結婚する前に浮気しない様に見張ってろよ?』
他にいい男がいたらそっち行ってしまうからな。と仁王に警告した。
『…そうじゃのぉ。』
仁王はしばらく悩んでしまった。
『氷帝は、いい男が勢揃いしてるし……お前のパートナーの柳生もいい男だよな
。案外抱く時は激しそう。』
アハハと笑い出す。
『…ふーん。』
仁王はふくれながら、の胸元にキスをする。
『お前は、どう抱いてくれるんだろうな?』
擽ったそうにしながらも仁王の頭を撫でながら、質問する。
『…どうじゃろ。』
くすくす笑いながら、キスをする。
『なぁ……抱いてよ。詐欺師の仁王雅治君。』
知りたいんだがな……と仁王の耳元で囁く。
仁王はをお姫様抱っこをすると、
『ベットはどこじゃ?』
とにんまり笑った。
『寝室はあっち。キングサイズで大きいベッド。』
やはり、睡眠は大事だからな。と寝室のある方を指さす。
『多少暴れても平気かの。』
にやりと笑うと、抱く力を強めた。
『あぁ。構わないさ。』
シュルル……と仁王の制服のネクタイを解きながら答える。
『…そりゃ俺の役目じゃ…。』
と仁王はの下着を器用にはずす。
『まぁ、乱暴にならない事を願うぞ。』
クスクスと笑う。
『…………経験者って感じだよな。』
仁王の行動をまじまじと見つめながら小さく呟いた。
『…黙っときんしゃい。』
仁王はに深い口付けをする。
徐々に首元、胸元にキスをする。
夕方からの行為は一体いつまで続いたのかは……二人と神のみぞ知る……である。
二人に幸あれ・・・・。