こんな事も、あるさ。
そうやって、割り切れない事がある。
今日、この日、この場
所で。
恋人に、振られた。
悲しかった。たった、二週間の恋。
完璧に終わった。俺の恋。
短かった。まぁ、最短じゃないけれど。
今までの、最短は一日。あれは、物凄かった。
俺が、遊ばれて終わったんだから。酷い事をする女の子もいるもんだ。
けれど、だからと言って、俺は、逆恨みはしない。
したって仕方がない。遊ばれたら、遊ばれたで、別に構わない。
それも、経験だから。
何だって、しないより、した方が、自分の為になる。
俺は、そう思っているから。
だから、経験出来て、ラッキーって事だろ?
だけど、今日の出来事は、そんな風には思えない。
それ位、悲しい出来事。
俺が、に振られるなんて・・・・。
そんな事、予想していなかったよ。
デート中、は、ずっと元気がなかった。
笑ってくれなかった。
どこか、上の空だった。
俺の事を見てくれなかった。
どうしてかって、俺は、悩んだ。
いつものと違う。
分かるのは、それだけ。
それしか、分からなかった。
だから、どうしてかって聞いてみた。
は、只一言こういった。
“何でもないの”
何が、何でもないの?
何でもないならば、どうして、そんな表情をしているの?
俺を、見てくれないの?話を聞いてくれないの?
今日の君は、明らかに可笑しかった。
教えてくれない。君。
悲しい。
俺に、言えない秘密があるんだね。
は、俺に隠し事をするんだね。
どうしてなんだい?一体、何を考えているの?
君の、心を独占しているのは、一体何?
俺は、その隙間には、入り込めないのだろうか・・・。
けれど、言えないなら、俺の目の前でそんな表情をしないで。
俺の目の前で、考え事をしないで。
俺は、知りたいんだから。君の事を。
全て知っておきたいんだから。
俺以上に、の事を知っている奴なんて居ない位に。
それなのに、それなのに、彼女は、俺との別れを選んだ。
一緒にいる事ではなく、お互いに、別々の道を歩いていく事を選んだんだ。
「訳・・・分からないよ。」
そうだよ。訳が分からない。
理由も無しに、“さようなら”?
以前にも、何回もあった。
その時は、気にもしなかった。
けれど、は別なんだ。別。別の人。
違う女の子といたって、の事を考えている。
そんな事を言ってたって、信じて貰えないのは、分かる。
けれど、本当なんだ。
それからというもの、俺は、生きてはいなかった。
死んだも、等しい様な状況。
大好きな、テニスもやっていない。
こんな事じゃいけない。そんなのは、分かり切っている事。
誰かに、言われなくても分かって居るんだ。
だけど、心と身体は違う。動いてくれない。脳が、命令しても。
やる気が起きない。何もしたくない。もう駄目だ。
俺は、駄目になってしまった。が、消えたから。いないから。
は、あの日から学校に来ていない。
連絡も取れない。
メールしたって返ってこない。
何度、送っただろう。
“会いたい”
その一言だけ、それだけ。
、会いたいよ。君に。
からの連絡は、ない。
俺の一方通行。
俺は、重い身体をどうにか動かして、外へ出た。
に、会えるかと思ったから。
確信は、していないけれど。そうでありたいと願っていた。
足取りは、覚束無い。
最近、ろくに食べていなかったから。
食事が、喉を通らなかったんだ。仕方がない。
フラフラフラフラ・・・・俺は、歩いた。
を探しながら。
東京は、狭い様で広い。
だから、に逢える確率は、かなり少ないだろう。
は、見つからなかった。
何処にも、居なかった。
俺達が、今まで行った場所に行ってみても、居なかった。
自宅は、知らない。行った事がないから。
だから、自宅には行けなかった。
「・・・・何処にいるのさ。」
俺を暖めて。お願いだから。
あぁ、君はどうして此処にいない?
俺は、虚しく手を伸ばす。
その先には、何もない。只の天井。
俺の視界に、は居ない。