信じられなかった。
あんな場所で、再会するなんて。
今日、この日、この場所で
突然、抱き締められた。
抱き締められた直後は、一体何が起こったのか理解が出来なかった。
けれど、この温もり・・・・そして、香。
嫌な予感がした。
私の脳裏に、甦っていく記憶の数々。
そして、私から告げた、別れの言葉。
「俺、凄く会いたかった。ねぇ、・・・・分かる?生きているのに死んでいるみたいな感覚が。」
「清純・・・・。」
謝りたくても、謝れない。
だって、覚悟して別れたから。
だから、私はこう様な真似はしない。
「御免、離してくれないかな。私達・・・・ただの友達なんだから。」
冷たくしたくなかった。
まだ、好きだったから。
もっと、強く抱き締めて欲しい。
それが、私の願い。
その願いを口に出すのは、駄目だから。
絶対に、そんな事を言ってはいけない。
「悪いけど、離す気はない。俺さ・・・・もう決めていたんだ。
ともう一度出会ったら、離さないし、離れない。の意志は尊重しないよ。これは・・・・・これだけは、譲れない。」
清純は、泣いていた。
弱々しい、声。
その反面、強い意志が瞳に宿っていた。
逃れられない。
私は、どうしたら良いの?
「!!!!」
私は、お店を飛び出した。
彼の側にはいたくない。
いたって、どうにもならない。
以前の私達で居られる訳がないのに、清純はどうして一緒にいたいと言うのだろう。
“悪いけど、離す気はない”
鳥肌が立った。
あれが、本当に実行されてしまったら・・・・。
「そうなったら・・・。」
逃げるしかない。
どうにかして、逃げ切るしかない。
(でも、私・・・・私は・・・・・。)
コノママワタシヲツレサッテホシイ
「・・・・・・この場所。」
私は、気付けばある場所へと来ていた。
この場所は、見覚えがある。
忘れられない場所。
此処は・・・・。
「捕まえた。」
腕を、掴まれた。
振り返れば、そこには清純を立っていた。
