“要らない。必要、ないから。”
私に触れないで
僕にとっては、面白い提案で。
彼女にしてみれば、悲しい提案。
泣いてしまうなんて、思いもしなかった。
彼女は、強いから。
僕の目の前で、泣いた事なんか一度もない。
笑うか、軽く諭すか。
苦笑いをするか、遠くを見つめるか。
見つめるか、見つめないか。
僕にとって彼女は、とてもとても必要な存在。
じゃあ、彼女にとって僕は?
“常陸院馨”
そのものの、存在は。
不可欠だろうか。
大事だろうか。
君は、好きだと言うけれど。
愛しているって、囁いてくれるこれど。
本当なんだろうか。
「。」
「馨・・・・・・。」
は、僕を見た瞬間から、驚いた表情をした。
それもその筈。
僕の隣には、女の子。
仲良く、腕を組んでいるから。
「今日さ、この子とデートするんだけど・・・・良い?」
「・・・・・どう・・・ぞ。」
微笑んだ。
頑張って、作り笑顔を浮かべていた。
でもこれは、僕の欲しいモノじゃない。
目的は、達成していない。
全然、物足りない。
、それは違う。
全く違うから、違い過ぎて、笑いたくなってくる。
分かって。
無理だと思っても、分かって。
無理矢理だと思う。
ふざけていると、自分でも感じる。
理解・・・・理解が、欲しい。
「じゃ、また明日ね。」
別れの挨拶を告げて、僕は女の子と教室を出る。
誘ったのは、僕。
だから、少しはお相手しないといけないよね。
「・・・・・・・・・・・・・。」
僕が、気付けば良かったんだ。
あの時、後ろを振り返るべきだった。
それを、どうしてしようとしなかったのだろう。
あぁ・・・・・駄目だ。
後悔なんて、今更だ。
今したって、過去に戻れないんだから。
だから・・・・したくないのに。
どうして、しなくちゃならないの?