俺達は、間違っていない。
ゼロ
「全員・・・・やったか?」
「あぁ。しかし・・・・この光景は異常やな。」
「フン・・・・呪文を唱えるから、黙っていろ。」
跡部は、呪文を唱え始める。
何処で、こんな呪文を覚えてくるのだろうか。
“真実を、破壊を、滅亡を____我、汝と契約を交わし、汝を召喚す。汝、その力を我の為に使え。我に、幸があらん事を・・・・・”
奴が呪文を唱えると、血で濡れたモノが光りに包まれた。
本物で・・・・・間違いないのだろうか。
コレを捜すのに、一体何年かかった事だろう。
その間に、どの位の人間が犠牲になったのだろうか。
悔しかった・・・・・ただ、死に逝く仲間を、見守るしか出来ない日々が。
しかし、コレさえ手に入れば・・・・どうにかなるかも知れない。
(頼むから・・・・頼むから、俺達の願い・・・届いてくれ!)
俺は、強く願った。
しかし、モノは光りに包まれたまま、なかなか姿を現そうとしない。
「失敗・・・・ですか?」
「まさか。俺が、失敗するはずがない。呪文も、間違えていない。」
柳生の言葉に、跡部は反論する。
跡部は、自分の力に絶対の自信を持っている。
誰もが、間違える筈がないと思っている。
しかし・・・・この状態が続くようならば、間違えたとしかいえない。
“・・・・・・全く・・・。”
「何じゃ・・・・今の声。」
「さぁ。少なくとも、俺達の中の人が声を出した訳じゃないですよね。」
“どうして、私を甦らせるんだか・・・・・・。”
女が、いた。
長い紫の髪を靡かせ、こちらに向かって歩いてくる。
今までテーブルにあったモノは、何処にも見当たらない。
「お前が・・・・・最強の中の最恐の中の最狂の女・・・・・か?」
「私?そう・・・・そう言われているの。まぁ・・・それで構わない。」
紫の瞳を細め、笑顔を作る女が・・・・あんな塊だったとは思えない。
「・・・・・俺達の仲間に・・なってくれるんだろうな。」
俺は、恐る恐る尋ねてみる。
本人の口から、聞かなければ信じられない。
どうしても、本人の口から聞きたい。
「その通り。血の契約を交わしたモノを、私は殺さない。護る。」
女は、ハッキリと断言した。
その瞳に、偽りは見られなかった。
