「逃げるのは、止めてほしいんじゃが・・・・・。」
君の、想い。俺達の、想
い。
限界だった。
これ以上、と話が出来ない日々が続くのは。
毎日毎日、目が合えば逸らされる。
話し掛けようとすると、走って逃げていく。
コレに、堪えろと言うのか?
が、好きで仕方がない・・・・俺に・・・?
なぁ、神様って本当にいるのか?
俺には・・・・・いる様に思えない。
いたら、俺のこの強い念いを叶えてくれる筈だから。
(なんて・・・・自分勝手。最低)
人間なんて、根本は自分の事しか考えていないんだ。
表向きは、人の事も考えている様に見えるけれど・・・・・実際は、自分の事が大半。
これは、自分にだって言える。
「。」
「ご・・・・御免なさい。私、よう「逃がさんぜよ。」
逃げようとする、の腕を掴む。
今日は、絶対に逃がさない。
絶対に、逃がしたくない。
と話がしたい。
その一心だけで、彼女の腕を掴んだ。
は、絶対に嫌がっている。
「な・・・・何・・・か・・?」
「話し・・・せん・・?俺、と話しをしたい。」
「話し・・・・・?」
「あぁ。日常的な話しでよかよ。嫌・・・・・?」
これ以上の事は言わずに、の返答を待つしかない。
けれど、の腕は離さないまま。
さぁ、。
どうか・・・・・良い返事を・・・・。
「久し振りじゃの。と、こうやって話が出来るのは。」
「・・・・・・・・・・・・・・・そうね。」
俺の願いが、届いたのだろうか。
は、俺との話に応じてくれた。
今は、屋上で二人きり。
邪魔する奴は、此処にはいない。
「・・・・・俺、テニスが好き。」
「?」
「何か・・・・初めて夢中になれる事を見つけた。」
きっと、何を言っているのかと思っているだろう。
俺自身、何を言っているのか分かっていない。
ただ、自然と出て来た言葉がコレ。
テニス。
俺の、夢中になったモノ。
がむしゃらに練習して・・・・・自分が、強くなるのを実感したかった。
勝ちたい。
一勝したい。
ただ、それだけの為に。
「・・・・・まぁ、そんな感じ。要は、俺はテニスが好きって事じゃ。」
今は、が一番好きでたまらないけれど・・・・・なんて・・・・・・・・言わないでおく。
きっと、余計にぎくしゃくした関係になってしまうから。
これ以上は、もう嫌だから・・・・・。
「仁王君は、凄い。」
「凄い?俺が?」
遠くを見つめているは、俺に“凄い”と言った。
一体、俺の何処が凄いんだろう。
・・・・・俺は、凄くないよ。
「凄い。夢中になれるモノが・・・・一つでもあるから。」
“私も、何か見つけたいの・・・・・まぁ、悪い事は考えないけれど。”
苦笑いをしていた彼女は、何故か凄く・・・・・切なく見えた。
