。
俺の目の前にいる女が、俺の捜していた女。
真実
「お前が、 か・・・・・。俺の名前は、知っているよな?」
当然、知っているだろう。
知らない奴の方が、少ないと思う。
この女だって、きっと俺の事は、知っているに決まっている。
「申し訳ありません。分からないのですが・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・何だと?」
今、何て言った?
俺の事を、知らないと言ったか?
なんて、女だ。
「それで・・・・あの、ぶつかってしまった事を怒っていらっしゃるのですか?」
「違う。まぁ、気にするな。俺の名前は、跡部景吾だ。覚えておけよ?」
名前を言えば、流石に分かるだろう。
俺が、”跡部財閥の息子”だと。
「分かりました。覚えておきますね。」
は、そう言って微笑んだ。
その表情に、見取れてしまう。
なんて、美しいんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・まずいな。
このままでは、いけない。
これでは、見定める事が出来ないじゃないか。
だが・・・・・・・。
何故だか、落ち着く。
何なんだ?苛々する事もない。
この気持ち・・・・・・。
キヅキタクナイ・・・・・キヅイテハイケナイキガスル・・・・。
「私は、これで・・・・。」
は、そう言い残すと、図書館の中へと消えていく。
「・・・・・・・あ・・・。」
行ってしまったか。
まだ、何か話したかったが、仕方がない。
俺にも、練習がある。
こんな事ばかりをしている訳にはいかないんだから。
「取り敢えず、今日は、此処までにしておくか・・・・。」
俺は、諦めてテニスコートに向かう事にした。
「おう。どうやった?跡部。」
「忍足・・・・・・・・。」
今、余り話をしたくない男に会ってしまった。
タイミングが悪い。
どうして、話し掛けてくるんだ?
「会えたんか? に。」
「分かり切った事を聞くんじゃねぇよ。」
苛々してくる。
此奴を見ていると。
こんなにも、余裕そうな笑み。
そして、話し方。
煩くて仕方がない。
「・・・・・・・・・・・・・・着替えてくる。」
俺は、これ以上忍足と話す気はない。
部室に向かい、着替える事にした。
「ククッ・・・・面白い奴やなぁ。」
さぁ、どう出る?跡部。
お前が相手をしてやってきた、今までの女とは、全く違う部類や。
これから、どうなっていくか・・・・・・楽しみに見させてもらうで。