何も、考えられない。
永遠に_____。
病室に響く、男の笑い声。
の、出生の秘密。
そして、どんな風に扱われてきたのか・・・・。
想像が、つく。
「家は、それを隠す為に、を俺の娘にした。恥だからな。兄妹が愛し合っているなんて、気味が悪い。
は、嫌われた子供。汚れている子供。生まれて来てはいけない子供なんだ。
それが、交通事故なんか起こして・・・・。益々、恥だな。この女は。」
は、生まれて来てはいけなかったのか。
だが、彼女が生まれてこなかったら、俺は、この感情を知る事は、なかったかもしれない。
俺は、以前の俺のまま、人生を終えていたかもしれない。
だから、無意味でもなければ、生まれてきてはいけないなんて事はないんだ。
俺は、感謝しなければならない。の、本当の両親に。
を・・・・彼女を、産んでくれて有り難う・・と。
「さて、そろそろ帰るか。もう目が覚めていると思って寄ってみたが、どうやら時間の無駄だった様だ。
君は、どうするんだ?面会時間終了まで、いるつもりなのか?」
「勿論です。俺には、側にいてやる事しか出来ませんから。
目覚める目覚めないは、の意志しかない。」
、死ぬなよ。
俺は、側にいる。ずっと・・・ずっと。
の父親は、”そうか”と、ただ一言だけ残して、帰って行った。
「、俺は側にいる。もう、決めた事だから、拒否は出来ないからな。
お前が、”嫌だ”と言ったって無駄だぜ?分かったか??」
俺は、の手を握る。
冷たい、指先。
まるで、死んだ様な錯覚を受ける。
離れないし、離さない。
これは、俺の意志だ。もう・・・揺らぐ事は、ない。
お前に”愛してる”と言われなくても、構わない。
もう、強要はしないから。
お前が言いたくないなら、言わなくったって、良いんだ。
「御免な・・・・・・。」
そっと、の額に、キスをする。
俺は、強くなってみせる。
あの頃の俺は、弱かった。
お前を護る事も、不可能だったに違いない。
「じゃあ、今日は帰るな。また明日来るから。」
俺は、立ち上がる。
早く・・・目が覚めてくれればいいのに。
目が覚めたら、今後の事について、考えよう。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
俺は、気付かずに病室を後にした。
まさか、が、あの時目が覚めているとは知らずに・・・・。