帰りたくない・・・・・。
永遠に_____。
理由は、分からない。
ただ、帰りたくない。
”帰っては、いけない”
脳が、私に命令する。
どうして帰ってはいけないのか。
そう尋ねても、答えは返ってこない。
ただただ、命令が下されるだけ。
従うのか、従わないのか。
その答えを出すのは、私。
だれが決める訳でもなく、私が、出さなければならない。
もしかしたら、記憶が戻るかもしれない。
けれど、行ったら大変な事になりそうな気がしてならない。
私は、どうしたら良い?
怖い・・・・怖すぎる。
このまま、永遠に分からなくても構わないじゃないか。
私は、一個人として存在している。
名前だって分かっているのだから。
それ以上の事を、知る必要があるのだろうか?
私自身が、要らないと思っているなら、必要ないだろう。
永遠に、分からなくたっていい。
私は、以前の””ではなく、新しい””に、生まれ変わったのだから。
ねぇ、そうでしょう?
「おい、話を聞いているのか?早く支度をしろ。グズグズするんじゃない!!」
____あんたって、本当に見てて苛々するわね!!
何・・・・?今の声は。
聞き覚えのある、声がした。嫌な声。
聞いただけで、気分が悪くなる。
_____お前、良いよな。俺の親父の遺産を全て貰えるなんてな。
遺産?遺産って、何の話なんだろうか。
私は、知らない。覚えていない。
だけど、脳は、覚えているのか、私に、映画のワンシーンの様に、映像を見せてくる。
声は、この男。映像だって、この男がいる。
遺産は、どういう意味が分からない。
どうやら、この男の父親という事は分かるけれど、それ以上の情報は、ない。
_______お前は、純血。の中の、最高傑作。私は、誇りに思う。私がいなくなったら、の全てをお前にやろう・・・・・。
「おい!早くしろ!!親父が、待っているんだからな。グズグスするな!!!!」
男が、私の腕を掴んだ。
とてもいらついているのか、指が肌に食い込んでしまう。
「い、嫌ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」