君がね。
さぁ、
“夢ってさ、なんだろうね。”
クラスメイトのが、休み時間に尋ねてきた。
「ほら、夢占いとか・・・こういう夢は、こんな事を言っていますよ____とかさ。」
「夢占いねぇ。」
もしそうだとしたら、夢の中に出てくる彼女も、何か示唆していると言うのだろうか。
「まさかな。」
「何言ってんの?跡部君。」
「いや、何でもねぇ。」
言っても、どうせ笑われるだろうし。
やはり、夢は夢だからな。
名前も知らない女か・・・・・。
そんな女の事を考えるなんて、頭がどうかしてしまったのだろうか。
「跡部君は、茨って知ってる?」
「茨?何だよ、いきなり。」
「・・・・・・あぁ、知らないんだ。なら、良いや。この事は、忘れて。」
変な女だ。
“茨を知っているか?”と聞いてきて、“知らない”と答えれば、忘れろと言う。
「さて・・・・と。私は、侑士の所に行かないと。」
「相変わらずだな。そんなに忍足が良いのか?」
「うん。」
は、即答する。
コイツの表情や、声からは、迷いなんて全く感じない。
一体、どうしたら互いを信用・信頼し合えるのか。
俺には、死んでも理解できない事だろう。
「じゃね。跡部君。また後で。」
「はん。忍足と宜しくやってやがれ。」
俺は、そんなに暇じゃない。
しなければならない事が山積みになっているんだ。
「跡部君は、人気者だからね。人気者は、大変なんだよ。それが、宿命?」
「・・・・・・俺は、人気者なんかじゃねぇよ。」
よく見ろよ。
俺の何処が人気者なんだよ。
本当に、人気者か?
俺から見れば、宍戸達の方が本当の人気者に見える。
俺のは、ただの錯覚に過ぎない。
「俺なんか、どうでも良いんだよ。そんなもんさ。」
「自分の存在を否定しちゃ・・・・・っと。いけないいけない。侑士が、怒る!!!」
は、今度こそ出て行った。
騒がしい奴だよな。
なかなか面白い奴だから、あんな奴と一緒にいれば飽きないんだろうか?
(くっだらねぇ。何考えてんだよ、俺は。)
俺は気を取り直して、先ずは今日の部活の練習内容を考える。
やはり、一人一人弱点が違う。
それを克服させなければ。
「茨は、大事なんだけどね。跡部景吾君。やっぱり、分かってないなぁ・・・・ハハッ。」
教室を出る際、がそんな事を囁いたなんて、俺には分からなかった。

