君がね。
さぁ、
夢を、見なかった。
初めて、何もなかった。
ただの、暗闇。
どうしてだ・・・・・何故、出てこなかった。
(気まぐれ・・・・か・・・・・?)
出てくれば出てきたで、気分が悪い。
出てこなければ、それはそれで気分が悪い。
俺、遂に可笑しくなったか?
「へぇ・・・・・夢?」
「あぁ。」
「そっか、見なかったんだ。夢をね。」
そう、真っ暗だった。
全く、見なかった。
これは、どういう事なのだろうか。
深い眠りについていたからなのか・・・・それとも、何か理由があるのだろうか?
今眠れば、彼女に会えるだろうか。
「やめときなよ?眠るのは。」
「・・・・・・・どうしてだ?」
「意味、ないんよ。なぁ?。」
忍足・・・・・か。
この二人は、何かを知っている。
俺の知らない・・・・何かを。
しかし、簡単に言う奴じゃない。
「お前等・・・・何を知っている?」
「何も。自分に教える事は何もないで。」
「嘘付くんじゃねぇよ。教えろ。」
「無い。」
忍足は、全く話そうとしない。
も、ただ黙って俺と忍足のやり取りを見ているだけ。
・・・・・・・これじゃあ、拉致があかねぇ。
人事かと思いやがって・・・・・。
「跡部君。本当に、ないんだよ。私達は、知らない。」
「そうかよ。勝手に言ってろ。」
答えたくないならば、それでも構わない。
俺は、俺のやり方で捜してみるしかない。
無理ならば、二人に無理矢理聞き出す。
“嫌だ”と言っても、有無を言わせない。
「じゃあな。」
俺は、二人にそう告げると、教室を出た。
じっとしている訳には、いかないから。
何かが、起こっている事は確かだった。
それが何かを、俺は知りたいんだ。
「あーぁ・・・・怒っちゃったかな。」
「平気や、平気。気にする事なんかあらへんて。」
「そうかなぁ・・・・でも、跡部君可哀相だね。奪われたんだから。」
「そうやな、奪われたんやからな・・・・。」
二人は、笑っていた。
彼等は、何かを知っている。
しかし、何も話さない。

