君がね。
さぁ、
俺は、捜した。
キーワードである、“茨”を頼りに。
だが、なかなか見つからない。
(茨・・・・・茨って、何なんだ?何かの名称か?それとも、本当に茨か・・・・?)
分からない。
分からない事だらけだ。
今も、夢は見る事はない。
一度も、見ない。
一体、どうなっているんだろうか。
日に日に、可笑しくなっていく。
「畜生・・・・・畜生!!」
跡部財閥の力を持ってしても、俺が捜し求めている様な情報が、見つからない。
あぁ・・・・・何だってんだ。
茨 茨 茨 茨
茨 茨 茨 茨 茨 茨 茨 茨 茨 茨
茨
茨 イバラ イバラ イバラ イバラ イバラ イバラ
・・・・・・・。
「・・・・・・・・・そういやぁ・・・。」
聞いた事がある。
大分前だったし、興味が無かったから・・・・そんなに気に止めていなかった。
俺の家が経営している病院の奥の奥・・・・・決められた人間しか入れない場所。
様々なコードが張り巡らされ、歩く場所を見つける方が、難しいと言われている。
許可されていない人間が入ると、死ぬ。
確実に、死ぬ。
現に、死んだ人間がいた・・・・・と言っていたな。
その場所・・・・・。
その場所は・・・・・。
その場所にいるのが・・・・・。
「やっと、来たんだね。」
「あぁ。」
「遅かったなぁ。跡部。」
「うるせぇ。お前等が言ってりゃあ・・・・もっと早かったんだよ。」
俺の目的地には、と忍足がいた。
二人は、俺が来るのを知っていたかの様に、先回り・・・・・か?
「・・・・・・この女・・・。」
俺は、ガラス越しに部屋の中を見る。
噂通り、部屋の中はコードが張り巡らされていた。
やはり、本当だったのか。
実際に目にするまで、実感が湧かなかったが・・・・。
白いベッドの上に、一人の女が横たわっている。
目を、覚まさない。
覚まそうと思っていないのか、ピクリとも動かない。
「あれが、___またの名を“茨”。」
「自分、夢の中に出て来た女やろ?」
「・・・・・あぁ・・。」
いつも、泣いていた女。
俺が、手を差し延べても、繋がれる事が無かった。
ずっとずっと、会いたかった。
「私達もね、夢を奪われたんだよ。」
は、笑いながら言った。
奪われた?
今、奪われたと言ったか?
「あの子は、夢を自分の生命力にしている。だから、私達の夢も奪われた。」
「・・・・・・そんな、目茶苦茶な事があってもいいのかよ。」
「跡部、現実にあるんやで?あってもなくても・・・・なんて、問題外やで。」
信じられない。
他人の夢を、食って生きてる?
人間が、出来る業じゃねぇよ。
「まぁ、信じる信じないは、この際どうでもえぇわ。今の俺達は、やる事があんねん。」
「やる事・・・・・?」
「そう。夢を取り戻す為、そしてこれ以上、被害者を出さない為。」
は、一呼吸置いて、言った。
「彼女・・・・を、目覚めさせるの。」

