「どうしているのよ・・・・・。」
知らないから、
信じられない。
誰にも告げていなかったのに。
どうして、目の前にいるのだろう。
跡部景吾と・・・・あの子が。
偶然なんかじゃない。
これは、絶対に偶然じゃない。
誰かに、仕組まれた・・・・?
(比呂士は・・・・仕組める筈が、ない。彼は、そんな事をしない。)
じゃあ、あの子が?
違う。
あの子じゃ、ない。
出来るはずが無い。
あの子に。
出来るとしたら・・・・彼。
あの子の隣に、座っている人物。
彼____跡部景吾なら、出来る。
「さん、どうしました?」
「え?あ・・・・何でもない。気にしないで。」
比呂士の声で、私は現実の世界に引き戻された。
此処には、居たくない。
違う場所に、行かないと。
私は、比呂士の腕を引っ張りながら歩き出す。
早く、速く、ハヤク。
鼓動も、自然と速くなっていく________________________。
(一体、何があったんでしょうね・・・・・。)
図書館に到着した途端、さんは、立ち止まってしまった。
そして、一度も本を手に取ることなく、その場から、早歩きで出てしまった。
私には、何が嫌だったのか・・・・・全く検討がつきません。
歩き続けている今も、無言のまま。
理由は、告げずに歩いている。
彼女の名前を、呼ぼうか。
それとも、止めておくべきなのか。
折角の、休日。
長い時間、一緒にいられるというのに・・・・・。
(最近、何だかこういう事が多過ぎる気がしますね・・・・・。)
彼女は、跡部君と付き合い始めた。
もう、彼女の事は考える必要がない。
「さん。」
私は、歩みを止める。
こうやって、目的も無く歩いていても、仕方が無い。
「何処か、喫茶店に入りませんか?私が、御馳走しましょう。」
「え?あぁ・・・・・有り難う・・・・。」
「・・・・・で、図書館で何があったんですか?教えていただきたい。」
「いたのよ。あの二人が。」
「二人?」
「そうよ。あの子と跡部景吾が。」
“私は、跡部景吾が苦手なのよ”
さんは、嫌悪感を顔に出していた。
彼女は、跡部君が嫌い。
それは、私にとって良い事なのか。
それとも、悪いのか。
この時の私には、それが判断出来なかった。

