それは、不思議な不思議な出会い。
全ては、これから始まったんじゃないかと感じている。
春
あの日、出会っていて良かった。
私は、そう思わずにはいられない。
あの時は、テニス部の皆さんと、食事に行こうと話しをしていた時だった。
切原君が、先に彼女・・・・・いえ、彼女達に気付いた。
一目で、夢中になってしまいそうでした。
違いますね。私は、夢中になりました。彼女に。
髪は・・・・日の光に当たると、綺麗な薄い蒼。
瞳は、金色・・・・・と、言うべきなのでしょうか。
今までに、見た事がない。
少なくとも、日本人ではないでしょう。
ふと、視線を横に向けると、仁王君も、見つめていた。
ですから、私は試してみる事にしました。
「あの髪の長い女性、良いですね・・・・。」
仁王君だけに、聞こえるように。そっと。
すると、仁王君は、驚いた表情をしました。
一瞬。ほんの一瞬でしたが、私は、それを見逃すことはしなかった。
そうですか。やはり、仁王君も気になったのですね。
もう一人の方でしたら、良かったのに。
そうすれば、仲が悪くなる事もなかったのでしょう。
仁王君よりも、早くしなければならない。
彼は、私よりも上手ですから。
早くしないと、大変な事になりそうで。
私は、仁王君を鋭く睨み付けた。
コレハ、ユズレナイ。タトエ、アナタダトシテモ。
私は、話し掛けた。
楽しそうに、話しをしている彼女に。
「済みません。」
彼女の金色の瞳に、私が映った。
視線が、重なる。
その瞬間、私の鼓動は早くなっていく。
もしかしたら、顔が朱くなっているかもしれない。
「何でしょう。」
彼女は、笑顔で応えてくれた。
全く、変な表情もせずに。
優しい微笑み。そんな表情にも、惹かれてしまう自分がいる事に気が付き、心の中で、苦笑をする。
一体、何をやっているのか。
自分でも、よく分からない。
ただ、仁王君に先を越されない様にと思う心が、原動力となったのは、確信が持てます。
ふと、皆さんの方に視線を向けると、仁王君が、私を睨み付けながら、こちらに向かってくるのが見えた。