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五月に入った。けれど・・・。
五月、緑が茂るあの日、僕等は再会を果たす。
春
彼女に、会いたい。
そんな風に願ってしまう。
に会わなくなって、もう一ヶ月が経とうとしていた。
会えるかと思っていたのに、なかなか会えそうにない。
初めて出会った場所に行ってみても、見つからない。
「これは、打つ手があらへんな・・・・。」
遠くを見つめる。
今は、女と遊ぶ事もしなくなった。
誘われても、ずっと断っている。
全ては、の為。そして、自分自身の為に。
どうでも良い女に時間を割くよりも、気になる女の為に、時間を使いたい。
「最近さ、侑士も跡部も変だよな。何かあった?」
お昼時、突然岳人が尋ねてきた。
「あーん?関係ないだろうが。お子ちゃまは、黙って飯を食ってな。」
「ムッ・・・何だよー!!心配してやってんのに!!!」
「まぁまぁ、岳人。落ち着けや。」
岳人を宥めるのも一苦労やな。
ほんま、世話の焼ける奴や。
「でもぉ・・・・。」
「あんな、何も気にする事なんかあらへんて。大丈夫やから。ほら、早く食べないと、授業始まるで?」
「うげっ!!ヤバイ!!!」
岳人は、慌てて目の前の食事を口に運ぶ。
何も変わっていない日常。
しかし、俺の中で何かが芽生えている。
僅かだが、自分に変化が訪れている。
悪くはない。
だが、不思議に思う。
たった一度の出会いで、人間は変わるものなのだろうか。
「気になる女がいる?」
「そ。一度しか会ってないんやけどな・・・・。」
放課後、俺は跡部と屋上にいた。
テニスは、やる気になれない。
何時もなら、集中出来るものが集中出来ないなんて、怪我の元にもなる。
「・・・・・お前がなぁ。女なら見境なかったくせによ。とうとう気になった女が出来たか。」
「そういう自分も、そうやろ?違うんか??」
可笑しそうに笑う跡部に、俺は問い掛けた。
すると跡部は、真顔に戻った。
「・・・・・不思議な女だ。一緒にいるだけで安心する。会う約束まではしたんだが、連絡先は教えてくれなくてな。」
“だから、困っている”と、跡部は空を見上げた。
これから、この先どうなるか分からない。
けれど、に早く会いたい。
どうしたら会えるのか、俺は考えてばかりいた。
