不思議な子だ。
恋の予感
「・・・・・・と、いう訳だ。どうやら、その事でおかしくなっているらしい。」
「そっかぁ・・・・・。」
放課後。
場所は、音楽室。
ホスト部の部員が、集う場所。
だけど、一人だけいない。
そう・・・・・常陸院光。
話題の中心である彼は、此処にはいない。
ずっと、教室で考え事。
“お姫様”を救う為に、考え事をしている。
僕が呼んでも、考えに没頭している。
だから、教室に置いてきた。
酷いと思われるかもしれないけれど、光を置いてきてしまった。
「お姫様と言っても、訳分からないんだろ?」
「まぁな。詳しい話しは、俺にもよく分からん。」
「鏡夜先輩が分からないなら、僕達はもっと分からないよ。」
「そう言われてもな・・・・・。」
一体、光はどんな子に夢中になったんだろう。
何処で、会っているんだろう。
僕も、知っている女の子だろうか。
(でも・・・・・でも・・・僕には、言ってくれても良いのに。)
これじゃあ、あんまりだよ。
僕に、秘密なんて。
僕は、光に秘密なんてないのに。
こんな事、今までなかった。
「秘密かぁ・・・・・酷いと思わない?」
「さぁな。いくら双子だからといっても、秘密位はあるだろう。」
「僕たちの間には、そんなのなかったんだよ。」
そう、なかった。
全く、なかったのに。
零だったのに。
光は、僕に秘密を作った。
秘密を作らなかった僕に、秘密を創ったんだ。
悲しいよ。
「馨。光の事を思うなら、応援するべきだ!!」
「光が、変な子に引っ掛かっているかもしれないのに?」
「むっ・・・・それは・・・。」
「ほら、応援なんて出来ないでしょう?」
何処の誰かも分からないのに、応援なんか出来ないし、したくもないよ。
光の幸せを願うなら、
どんな女の子かを、知った後。
そうじゃなければ、僕はしない。
絶対に、しないよ。
「あそこにいるの、光?」
ハルヒの言葉に、僕は窓の外を眺めた。
上半身を外に出し、光を捜し出す。
何処?
何処にいるの?
「あそこだよ、馨。ほら、花が咲いている・・・・・。」
「・・・・・・・・本当だ。」
光が、いた。
楽しそうに、笑っていた。
自然に見える、光景。
・・・・・・・・・・・じゃあ、ない。
不自然だ。
物凄く、不自然。
自然さが無さ過ぎて、酷く疑問を持ってしまう。
どうして、笑っているの?
どうして、話しをしているの?
どうして、こんなに疑問を持たなければ、いけないんだろう。
でも・・・・・・。
でもね・・・・・・・?
これを、疑問しないで・・・・どうするんだろうか。
だって、光以外、あの場所にいないんだから。
ねぇ、一体・・・・光は誰と話しをしているの?

