不思議な子だ。
















































恋の予感



































































「光は、何を見ていたの?」



















































馨は、心配そうに僕を見ていた。

















「光は、一体誰と話しをしていたの?」















またしても、心配そうな表情で尋ねてくる馨。













馨は、一体何の話しをしているのだろうか。













どうして、そんなに不思議な顔をしているのだろうか。





















































僕を、どうしてそんな瞳で見るの?

























































「ねぇ・・・・光。“お姫様”って、何?」










「何って・・・・お姫様はお姫様だよ。」















何が、言いたいのだろう。













馨は、一体どうしてしまったんだろうか。


























































「だってね。光・・・・・。」








































































聞きたくなかった。












何だか、嫌な予感がした。













どうしても、逃げたくなってしまった。

























(馨は、一体何が言いたかったんだろう。)

























やっぱり、聞いておけば良かったのだろうか。













でも、聞きたくない事は、なるべく聞かない方が良いに決まってる。





































































。」















何時もと、同じ時間。














僕は、彼女に会いにこの場所に来た。













彼女は、笑っている。













何時もと、変わらない表情をしている。




















「ゴメン。まだ・・・・見つかっていないんだ。」




















全く、見つからない。













“コレ”だという、確信がない。













持てそうにも、ない。













図書館の本を、読みあさってみても。













学園の、噂を聞いてみても。













何処にも、見当たらない。







































「こう・・・・八方塞がりって、好きじゃないんだよね。」















は、この場所から離れられない。














どうしても、逃げることが出来ない。




























さぁ・・・・人間・・だよね?」










“人間・・・・・でしたと、言うべきかも知れませんね。”




















彼女は、僕の腕を掴む。













腕を掴まれると、思わずドキッとしてしまう。













相変わらず、冷たい。













ひんやりと・・・・白い、雪の様に。













透明に輝く、氷の様に。













どうしたら、こんなに冷たくなってしまうのだろうか。



























「“だった”・・・・って、過去形?」










“そうです。”










「・・・・・・よく分からないんだけど。今だって、人間じゃないの?どうみたって、人間でしょ?」















僕がそう言ったら、は笑顔のまま首を傾げた。















「・・・・・言えないって訳か。」















思わず、肩を竦めてしまう。













が、悪いんじゃない。














それは、分かっている。














































「・・・・・そういえば、はこの時間以外は、どうしているの?」















不思議な、事。













は、時にいなくなってしまう。














フワリ・・・・・と、消えてしまう。














一体、何処へ行ってしまうのか。













僕は、知りたかった。
































































「光!!!」



























































僕の名前を、呼ぶ声がした。













この声は、馨だ。













僕が、間違えるはずが無い。









































































「帰ろう。」










「は?何で??」










「良いから。」










































それ以上は、何も言ってくれなかった。













馨の表情は、とても険しくて。













僕は、それ以上は何も聞けない。













今まで、見たことが無い馨の表情。













それに、驚いてしまったから。






























































「ね、ねぇ・・・・いきなりどうしたの。」










「光、誰と話しているの。可笑しい・・・・・絶対に、可笑しいよ!!」





















































怖かった。













本当に、怖かった。













でも、怒る理由が分からない。













僕は、と話しをしていただけ。













誰にも、迷惑をかけていない。

































































「・・・・・馨が言いたい事、わっかんないよ。」















































































分からない。








































































分からない・・・分からないよ・・・・・分かりたくない・・・・・!










































































「僕の・・・・僕の邪魔しないで。いくら馨だからって、邪魔は許せない!」










「光・・・・・・。」














聞きたくない。














言い訳だって、聞いてあげない。















































































「光、これだけは聞いて。」















馨は、腕を離そうとしない。













































































「あそこには・・・・・。」















僕は、馨が言いたい事を、知りたくない。









































































「あの場所には・・・・。」















必死だった。













この場所から、逃げようと。







































































だけど・・・・・。































































































「あの場所には、誰も居ないんだよ!!!!」




























































































信じない。













僕は、絶対に信じないよ。













馨・・・・・そんな嘘を付かないでよ・・・・・・・。