飽
きてしまったんだ、仕方ない
正直、光には悪いと思ってる。
私の勝手で、連絡を絶ち。
私の勝手で、会わないと決め。
私の勝手で、全て決めてしまった。
私達は、全てが上手くいっていた・・・・・と思う。
思うだけなのだから、周りから見れば、違う可能性だってある。
まぁ・・・・・周りの視線なんて、気にするなんて今更の様な気がするけれど。
気にしていたら、年下となんて付き合おうと思わなかった。
でも、付き合ってから何が変わったのだろう。
出会った頃と、何も変わっていないような気がしてならない。
確かに、幸せを得られる時もある。
でも光は、嫉妬深すぎて・・・・どうも息苦しく感じてしまう時の方が多かった。
だから、離れてみた。
こうして、光と離れて生活をしてみようと思った。
でも・・・・・理由はそれだけじゃない。
光を試してみたかったのかも知れない。
私は年上で、光よりも先に歳を取る。
彼はまだ高校生なのだから・・・・・周りにいくらだっているのだから。
それなのに、最終的に私を選んでくれるのかどうか・・・・。
「フン・・・・・馬鹿馬鹿しいわね。」
一体、試してどうなるというのだろう。
試したって、何も起こらないかも知れないじゃない。
それなのに、こんな馬鹿馬鹿しい事をどうするのだろう。
それも、人間がする行動なのだろうか。
何か不安がある毎に、相手を試す。
そして、相手が思った通りに行動すれば安心し、しなければ納得せずに喧嘩・・・・最悪な場合には別れが待っているかもしれない。
こんな事・・・・・繰り返して何になるというのだろう。
私も、こんな事をしてしまうなんて。
同類・・・・か。出来ればなりたくなかったわね。
所詮、私も醜い人間と同類。
これ以上、こんな無駄な事をする位なら・・・・・二人でいる時間を大切にするべきね。
歳だのなんだの・・・・・くだらないわ。
悩んでいるだけ、馬鹿みたいじゃないの。
(明日にでも会いに行こうかしら。でも・・・・馬鹿にされそうね。)
会った瞬間、何て言われるかしら。
怒鳴られてしまいそうな気がするけれど、それは無視しましょう。
適当に答えれば大丈夫かしらね・・・・多分だけれど。
そんな風に考えながら、瞼を閉じてみる。
あんなに鮮明だった彼の顔が、少しずつ不鮮明になってきている。
好きな人も、何時かは思い出の箱の中へと閉じ込めてしまうのかしらね。
そうなるならいっその事、閉じ込めずに削除してしまえれば良いと思う。
人間の脳は、うまい事出来ているのだからその位は簡単じゃないのだろうか。
さぁ・・・・・光の明日の反応次第でまた変化するかしら。
彼は、ほんの少しでも変化を遂げたのだろうか?
それを考えると、楽しみでもあり不安でもある。
将来は、私の家を継いでくれればと思っているのだから。
・・・・・・・これも、私の勝手な意見だけれど。
「それより、今は仕事をしないと・・・・光と会っていたから溜まってしまって大変だわ。」
机の何処を見ても、書類の山。
山が沢山あり過ぎて、扉の近くが見えなくなっている有様。
何て情けない、この状態。しかも、大学だってあるというのに。
これを終わらせなければ、会いには行けない。
会いにはいけないというよりも・・・・会いには行かない。
待っていなさい・・・・・必ず、終わりにしてみせる。
「・・・・・・・・忘れていないと良いけれど。」
光が笑顔で写っている写真を見た。
その笑顔を見ると、自然と涙が出てきそうになり、堪える事に必死になってしまった。
いつから、こんなに弱くなってしまったのだろう・・・・・・・・・・。
私は、一時も忘れた事はないけれど・・・・・光、貴方はどうかしら?

