悲しそうだった、彼女。
ねぇ、君は誰?
知らない、あの娘
屋上に着くと、彼女は俺に背を向ける形で佇んでいた。
あぁ、あの時の彼女だ。
間違いない、俺には分かる。
「あの・・・・・。」
俺は、勇気を出して話し掛けてみた。
すると彼女は、俺の方へと振り向いた。
「貴方は・・・・?」
「あ、俺?俺は、仁王雅治。この学校の三年じゃ。あんたは?」
「。二年です。」
か・・・・俺、二年の教室もよく捜した筈。
本当に、二年か?
いや、しかし・・・他の学年だって捜したんだ。
きっと、タイミングが悪かっただけだろう。
「二年か。組は?」
「三組です。それが、何か?」
冷たい態度だった。
そして、俺が驚いた事は、彼女には表情がない。
感情を消してしまっているのだろうか?
知りたいと思っていた彼女の事を、俺はもっと知りたいと思う。
「他に、何か?」
「あの時、何故泣いていたんじゃ?ずっと気になってたんじゃ。」
「それに対しては、黙秘させていただきます。」
まぁ、当然の反応か。
初対面の人間に対して、そんな事を易々と言う訳がないよな。
だけど、見つけたからには何としてでも、教えて貰わなければ気が済まない。
「では、私は・・・・。」
「待った。」
俺は、逃がす訳にはいかなかった。
だから、彼女の腕を掴んで動きを制止させる。
「・・・・・・何か。」
「何時も何処にいるんじゃ。その位教えてくれてもえぇじゃろ。」
この位ならば、構わないだろう。
しつこいと言われても、この位は知っておきたい。
「保健室。」
「保健室・・・・・。」
彼女は、そういっていた。
どうして保健室なのだろうか。
俺は、考えていた。
益々、謎になっていく・・・・。
。
君は、一体・・・・・。
