悲しそうだった、彼女。
ねぇ、君は誰?
知らない、あの娘
「。」
「また、貴方ですか。毎日毎日・・・・どうしてそんなに来るんです?」
「と会って、話がしたいから。」
俺が、笑顔で言うと、は嫌な顔をした。
あれから数日。
まだ、出会ってからそんなに経った訳じゃないけれど。
俺は、授業をサボってでもに会いに来ていた。
出会ってから、分かった事。
は、図書館、保健室、屋上・・・大体、その三箇所の何処かにいるという事。
それから、仲が良いのは、保健医だけ。
本は、ミステリーや殺人事件の様な話が好きで、読みあさっている。
まぁ、今の所はこんな感じ。
あぁ、そうだ。
これを忘れてはいけなかった。
には、恋人がいない。
それは、確実だった。
保健医が、俺に教えてくれた。
(勿体ないの。こんなに良い女なのに・・・・。)
「何を考えているんですか。」
「の事を、考えておったんよ。」
早く、俺のになってくれないだろうか。
そうしたら、もっともっと何か出来そうな気がする。
「は、教室には行かんの?」
「行きません。」
即答だった。
教室に行けば、友達だって出来るだろうに。
そうすれば、楽しい事だってあるんじゃないだろうか。
「あんな場所に行って、一体どうなると言うんです。私には、分かりませんね。仲良さそうに見えたって、所詮腹の探り合い。」
「疑ってばかりなんか?」
は悲しくなっていないのに、何故か俺が悲しくなってきてしまう。
あれ・・・・なんか、泣きそう。
「何泣いてるんですか。」
が、一筋の涙で濡れた頬に触れて来た。
その手は、温かい。
そんなに温かいのに、の心は冷たいのだろうか。
氷の様に、凍ってしまった心を、溶かしてあげることは出来ない?
「・・・・・。」
俺は、を抱きしめた。
何とかする。
、俺は決めた。
俺は、お前の為に出来る事全てをするから。
「何故、貴方はそんなに優しいんです?」
「そうじゃのう・・・・何でかの?きっと、だからじゃないか?」
「・・・・・・・“私だから”ですか。信用なりませんね。貴方は、周りの人に優しいんですから。」
“嘘を付くのは、良くない。特に、付く必要のない嘘は”
彼女は、俺の額を軽く突き、忠告した。