悲しそうだった、彼女。
ねぇ、君は誰?
知らない、あの娘
「、待たせたの。」
「どうも。」
今日は、と昼飯を一緒にする日。
あれから、と相談・・・・というか、俺が曜日を指定して、勝手に昼飯を食べに来ている。
本当は、毎日一緒が良いけれど、それは止めておいた。
保健医に、止められたからだ。
“この曜日なら、大丈夫”
保健医が、そう言っていた。
何故かは教えてくれなかったが、俺は、それに従う事にした。
「ふぅ・・・・・ん・・それは、お母さんの手作り?」
「ん?そうじゃ。」
は、弁当を物珍しそうに見つめる。
そんなに、珍しいだろうか?
普通の、弁当なのに。
「は、弁当じゃないんか?」
「はい。」
よくよく見ると、は弁当箱を持っていなかった。
彼女の膝元にあるのは、買い物袋。
(いいのぉ・・・・俺も、買い物袋になりたい。)
・・・・・・・・・・・買い物袋に、嫉妬してどうする。
「手作り・・・・。羨ましいですね。」
「俺は、その膝に置かれている袋が羨ましいぜよ。」
「・・・・・・・・・・・は?」
しまった。
ついつい、言葉に出てしまった。
変な奴と、思われたに違いない。
「・・・・・・変な人。」
「やっぱりの・・・・・。」
あぁ、完璧に変な奴とインプットされてしまった。
俺、凄い馬鹿。
「ま、まぁ・・・それは置いておいてじゃな。そんなに弁当が良ければ、頼んでやろうか?」
「良いんですか・・・・?」
「あぁ、いいぜよ。」
「有り難う・・・。」
は、俺に例を言ってくれた。
な・・・んか・・・照れる。
照れる反面、嬉しかった。
彼女に、御礼を言われるなんて思ってみなかったから。
他の人に言われた時の御礼は、確かに嬉しいもの。
だけど、に言われると、また違った嬉しさを感じた。
「なぁ、センセ。」
「何かな。仁王君。」
「、一体何があったんじゃ?」
俺は、最大の疑問を尋ねてみた。
どうしても知りたかったのに、聞けなかった疑問。
には、聞けない。
だが、保健医ならば、聞き出せるかもしれない。
そう感じたからこその、質問。
「・・・・・・知りたいの?」
「あぁ。」
「どうしても?」
「知りたい。」
「そうね・・・・仁王君なら、教えてあげても良いかもね。よし、話してあげる。」
“あれは・・・・一年前の事”
保健医は、ゆっくりと語り出した。
