悲しそうだった、彼女。

ねぇ、君は誰?

























































知らない、あの娘
































































俺は、保健室を出た。



あの場所に、居たくなかった。



走って、走って、走って。



走り続けた。



止まろうとは、思わなかった。




























































“虐めを受けていたの”







































































保健医は、言った。








































































“親しい友人、先生、他のクラスの生徒から”


























































嘘だ。


































































“だからね、自殺を謀った。”






































































そんなの、嘘だ。







































































“しかも、教室の中で”




































































そんな話し、聞いた事がない。



教室内で、自殺を謀った生徒がいただなんて。



は、対人恐怖症。



けれど、学校自体を嫌いではないから保健室で過ごす日々。



人間は、嫌い。



だけど、学校は好き。



初めて保健室に来た彼女は、死人の様だと言っていた。



死んでいる。



ずっとずっと、死んでいた。



今の状態に来るまでに、かなりの時間を要したらしい。



一年経っても、謝りに来る奴はいない。



そんな奴等が、まだこの学校に存在している。



何もなかったかの様に。



自分達は、何も悪い事をしていないかの様に。



虐めなんか、自殺を謀ったの事なんか、頭の隅にすら置いていない。





























「俺・・・・嫌・・・・・。」




































は、興味本位で近付いて来た俺を、どう思ったんだろう。



拒絶して、拒絶したくて、突き放したかったに違いない。



自分のした行動に、恥じた。








































「・・・・・・・やめるかの。」



に、近付くのをやめようか。



これ以上、彼女を嫌な気分にさせたくないから。













































































“仁王君、また来なさい。貴方が、頼りよ。”









































































もう自分だけでは、駄目だ。



保健医は、そう言っていた。


















俺が、頼り?
















でも俺は、の側にいて良いんだろうか。
























































“資格とか、そんなモノは必要ない。”
























































そんな風にも、言っていた気がする。



















「・・・・・・・行くか。」



















の所に行こう。



俺が、少しでも君の役に立つのなら。



今はきっと、眠りについている、君の側に。