がいない。
いないというか、学校には来てるはずなのに・・・全く見あたらない。
一体彼女を見たのは何時の日だったか・・・。
忍足は、思い返していた。
ある日の思い出ー2ー
いつもならば、が嬉しそうに入り口から教室を覗き込む昼休み。
この日も彼女は自分の元に姿を現す事はなかった。
(・・・・・・・今日でもう一週間やないか。)
自分が一体何をしたのか。忍足は自分の胸に聞いてみても思い当たる事はない。
いつも、自分はを最優先してきた。
彼女が喜ぶならば、なんでもしてやりたい。
それが、忍足の信念。
を苛める人間、そんな人間はこの世から消し去ってやりたい位に憎い。
もしかして、自分のに対する気持ちが重すぎたのか?
いや、そんな事はない。彼女に限ってそんな事は。
それとも・・・・・。
一瞬だったが、忍足の胸に嫌な予感が過ぎった。
ホカニスキナオトコガデキタノダロウカ・・・・・。
彼女を他の男に盗られる。
そんな事になってしまったら自分は正気ではいられない。
それだけ、自分はを愛し、彼女に溺れてしまっているといっても過言ではない。
現に、彼女がクラスメイトの男子と仲良く話をしているのを発見すると、気にしてはいけないと思っている自分の片隅にはいつも嫉妬をしている自分がいる。
どうしたら、を一人占めできる?
どうしたら、他の男に盗られないと自信を持って言える?
どうしたら、
どうしたら、
どうしたら・・・・・・。
考えても答えは出てこないのだ。
しかし、考えてしまう。
”を完全に自分だけのものにしたい。”
こんな独占欲。今までになかった。
こんな感情をどうやって処理すればいいのか忍足はしらない。
この感情はどうにもならない。
止める事は誰にも出来ないのだ。
「・・・・俺から離れていかんといてや・・。」
忍足は、屋上に一人佇み空を見上げた。
今日は快晴。
自分の心の色とは正反対の色だ。
そんな事を思って空を見上げている彼の頬に一筋の涙が流れていた。
イツニナッタラ・・・コンナコトヲカンガエナクテスムノカ・・・。
愛しき人よ・・・・。
ドウカ・・・・・。