私に触れないで














































































(また・・・・・一人なんだ・・・。)















偶然だった。













偶然、通り掛かったら・・・・・がいた。













今日も、独りで帰るのだろうか。













馨は、一体何がしたいんだろうか。













これじゃあ、があんまりだよ・・・・・。





























。」










「光さん・・・・・。」















泣いていた。













僕の方を見た彼女は、頬を涙で濡らしていた。













きっと、予想していなかったんだろう・・・・・誰かが、教室に戻ってくるなんて。













馨を、想って泣いていたの?













それとも、他の女に気持ちが向けられて・・・・・悔しいから?






























「泣いてたんだ・・・・・。」







「あ・・・・こ、これはですね・・・。」







「馨の為に?ねぇ・・・・馨の為に、そんなに綺麗な涙を流しているの?」















何かが、変化した気がする。













僕の中の、何かが・・・・・。
























































が、ナイテイタ。




























































あんなに、カナシクさせている。
































































ボクは、こんなトキどうしたらイイノ・・・・・。




































































































「御免ね・・・・・。」















帰り際、僕はに謝った。













此処にはいない、馨の代わりに。













勿論、僕が謝ったって何にもない。













だって、こんなの望んでいないと思う。













でも、謝らずにはいられなかった。













こんな僕に、は・・・・・笑顔でこう言ってくれたのを、僕は覚えている。







































































































“光さん、謝らないで下さい。誰が悪いかだなんて、責められる人なんていないのですから・・・・。”























































































泣けて来た。













嬉しくて、泣いたのか。













悔しくて、泣いたのか。














または・・・・・悲しくて泣いたのか。













僕には、よく分からなかった。













こんな、あやふやな気持ち・・・・初めてかも知れない。







































































「ひ、光さん・・・・・?」







「少しだけ・・・・・少しの間だけで良いから・・・・。」















気が付けば、を抱き締めていて。













気が付けば、彼女を離したくない気持ちが溢れていて。













気が付けば、この気持ちは、僕には抑えられない位になっていて。













は、“嫌だ”とは言わずに、僕に身を任せてくれた。











































































「何・・・・・あれ・・・・。」




















見るんじゃ、なかった。


















この場所に、来るんじゃなかった。


















此処は、僕の来ていい場所じゃなかった。



















どうして・・・・・いるんだろう。


















自然と、脚が向いてしまったんだ。


















歩き出して、しまったんだ。


















彼女の、自宅に。


















がいる、あの場所に。



































と・・・・・光・・・だよね・・・・・。」



































僕の眼が、可笑しくなったんじゃない。


















今、僕の瞳に映るのは・・・・と光が抱き合っている光景。


















嘘だと、信じたい。



















夢だと、思いたい。


















ねぇ・・・・・誰か・・・。


















ダレカ、ウソダトイッテ。