私に触れないで



















































「光、あれ・・・・・どういう事?」







「あれって、何?僕、見当が付かないんだけど。」





























その日の夜。













自宅に戻った僕を待っていたのは、凄い形相で睨み付けて来た馨だった。














その表情を見た瞬間、僕は、馨が怒っていると感じ取った。













でも、馨が何を言いたいのか・・・・僕は、知らない。













何を言いたいのか分かっていても、僕は分からない振りをする。






























「ねぇ、どういう事?」







そんな僕に対して、馨は、再度同じ事を聞いてきた。




















“あれ”




















“どういう事”




















“教えてよ”




















その単語が、何度も何度も出てくる。













繰り返し繰り返し・・・・・きっと僕が答えない限り、聞き続けてくる。













でも、僕は知らない振りをした。













訳が、分かっていない様な、表情をした。













何時もなら、反対の状況なのに。













馨が落ち着いて、僕が苛立っている。













それが今は、逆転してしまっている。













まるで、自分を見ている様だよ。













あぁ・・・・・僕は、苛立っている時はこんな感じなんだ。














それにしても、僕はどうしてこんなに落ち着いているんだろう。














どうして、冷めた目で馨を見ているんだろう。

























「光・・・・・聞いてるの!?」







「聞いているよ、馨。大体・・・・・どうしてそんなに苛立っているのさ。」







「だから・・・・・どうして昨日、を抱き締めていたのさ!!」




















あぁ・・・・・やっぱり。













馨は、見ていたんだ。













僕が、を抱き締めていた所を。













馨、運が良いよ。













だって、僕の気持ちに気付けたでしょう?













僕が、を好きだって分かってくれたんでしょう?













ねぇ・・・・・馨。













僕は、君からを奪うよ。













泣かせて来た、君から。













仲の良い双子でも、これはもう譲れないから。






























「さぁ・・・・答えてよ。光。」







「簡単な事だよ。抱き締めたいから、抱き締めた。が・・・・愛しいから、抱き締めた。」










































































どうして・・・・・同じ人を好きになるんだろう。

































































どうして・・・・・二人が付き合い始めてから、この感情を自分のモノだと感じたんだろう。

































































僕は・・・・・・。
































































僕は・・・・ね・・・・。










































































今、馨に伝えるよ。



















ずっとずっと・・・・永遠に言わないでいようと決めたコトバを。


















馨、隠していて御免。



















僕は、君にはっきりと言うよ。




















「僕は・・・・僕はさ、彼女_____が大好きなんだよ。」