許せない!!跡部景吾!!!!
王子様と、お姫様
跡部景吾。
現在、私達の、大好きな様の恋人。
そして、様を奪い取ってしまった憎い相手。
あぁ、様。どうして、跡部を選んでしまわれたのですか?
「とにかく!!!!」
私は、叫んだ。
そう、ここは対策本部。
私達は、様をお守りしなければならない。
そう!!キスよりも、先に行かない様に!!!
行く前に、殴る!←(コラ)
あの美しく、清い・・・・様を護る為ならば、多少のリスクは必要なのよ!
何故、私達が親衛隊になったのか・・・・・それは、理由がある。
そう、様に初めてお会いしたあの日・・・・・・。
『ったくさぁ・・・くだらないよね。』
私達は、高校生活に、何の希望も見出だせずにいた。
だから、皆でつるんで、授業をサボったり、悪い事をしたりしていた。
あの時も、退屈の余り、先生達に見つからない場所で、煙草を吸っていた。
『大体さぁ、あのセンコー煩いんだよ。くっだらない。』
『そうそう、黙ってろって感じ。』
『あ、あの・・・・・。』
私が、煙草を投げ捨てた時だった。
ふと、横に顔を向けると、一人の生徒が立っていた。
とても儚そうな・・・・とても細い身体。
あの、綺麗な瞳。
彼女は、きっと・・・・純真無垢な女の子なんじゃないかと思った。
『な、何?』
私が、返事をすると、女の子は、ビクッと震えてしまった。
どうやら、いつもの癖で、つい睨んでしまった私。
あぁ、こんな事じゃいけないって分かっているのに。
『ゴメン。で、何かな。』
私は、なんとか、笑顔を作った。久々に、笑った。
こんな、優しく接するのは“仲間”以外では、かなり久し振りだった。
『あの・・・お煙草。』
『あぁ、これ?煙草ね。これがどうかした??』
『余り、良くないと思うのですが・・・・。それに、お花の方に投げ捨てるのも、お花が可哀相でして。』
『は?お花??』
私は、煙草を捨てた方に、視線を向ける。
そこには、一つ。
たった、一つだったけれど、花が咲いていた。
何処にでもある様な、誰にも注目されない・・・・まるで、今の私達みたいな花。
彼女は、こんな花を気にしていた。
『何で、可哀相なの?別に・・・ただの花じゃない。
こんなの、誰も見ないし、どうなっても、気にしそうにないし。
寧ろ、生まれて来ただけ、無駄だって感じじゃない?何の為に生まれて来たのか、分からないし。』
そうだ。私の事だって、誰も気にしていない。
気にしてくれない。
気にして欲しいのに、親だって・・・・・・否、違う。そうじゃない・・・だけど・・。
『確かに、ただのお花かもしれませんが、気付いてくれる方はいると思います。
生まれて来ただけ無駄だと言いましたが、人生で、たった一人でも、気にしてくれる方さえいれば、十分だと思います。
それとも、数が沢山の方が、宜しいのですか?
それから、何の為に生まれて来たのか分からないと言っていましたが、それは、これから長い時間をかけて捜していけば、良いのではありませんか?
すぐに見つかるか、長い時間が掛かって見つかるのか。それは、人によって、違います。』
彼女は、そう言った。
そう言い、最後に、“自分の身体を大事にして下さいね”と告げて、去って行った。
そう言った時の彼女の笑顔が、妙に印象に残ったまま。忘れる事が出来なかった。
『・・・・・・・・決めた。私、彼女を護るわ!!!親衛隊を作る!これからは、悪い事なんかしない!!』
『わ、私もやる!つか、悪い虫を寄せ付けたら大変な事になりそうだもん!!!』
そう、それからは、煙草も卒業し、授業には真面目に出て、親とも色々話し合って・・・・何だか、以前とは正反対な生活になっていた。
そうして、半年。
親衛隊も、だいぶ増えて、今や話題になっている位。
あ、でも様には、言わない様に脅しているから、大丈夫。
しっかし、跡部景吾よ!!跡部景吾!!
奴をどうにかしないと!!!
話し合っているその時・・・・。
「テメェ等!!!いい加減にしやがれ!ちょっと面貸せぇぇぇぇ!!!」
我等が、天敵。
跡部景吾が、凄い剣幕で、対策本部にやってきたのだった。