俺は、追い掛けた。
君の、想い。俺達の、想
い。
「!!!!」
間違いない。あれは、だ。
俺は、胸が高鳴る。
やっと追い付いた。
逢いたかった。逢って・・・・抱き締めたかった。
「・・・・・・・・・・貴方は。」
は、驚いた表情をしている。
それもその筈。
俺だって、かなり驚いているのだから。
まさか・・・・・まさか、こんな所でに逢えるなんて。
「よぉ、久し振りだな。・・・・・と言っても、そんなに日は経っていないが。」
自分の台詞に、思わず苦笑する。何を、言っているのか。俺は。
たった一日、逢えなかっただけなのに。
仁王をからかうだけの筈が・・・・こんな事になるのか?
しかも、まだそんなに話もしていない。
それなのに・・・・・・・・・・・。
気付けば、俺は、を抱き締めていた。
周りに、通行人が居るのにも関わらずに。
「あ、跡部さん・・・・・。」
「景吾って呼べよ・・・。そう呼んでくれないか。」
他人行儀は、嫌だった。
に”跡部さん”なんて、呼ばれたくない。
俺との間に、厚い壁がある様で、哀しくなる。
胸が、痛くなってしまう。
幼い子供だと思われても、構わない。だけには、名前で呼ばれたい。
「・・・・・御免なさい。」
が、俺から離れた。
痛い。胸が・・・・。
「・・・・・・・・失礼します。」
「待てよ。」
俺は、去ろうとするの腕を掴む。
「逃げるな。俺を、見ろよ。逃げたって、何もならないぞ。
それに、そんな事させない。お前が逃げたら、許さないからな。
分かるか?勝手かもしれないが、お前が逃げた所で、何もならない。
卑怯だぜ。前を向け。正面から受け止めろ。
俺達の想いを、どうするつもりだ。無視するのか?」
そうだ、許される事じゃない。
だって、それを分かっている筈だ。
「突然、そんな事を言われて・・・逃げるなだなんて、無理に決まってます。
貴方なら、逃げないって言うんですか?
私は、そんなに強くありません。
正面から、受け止めろだなんて・・・・。」
「じゃあ、ずっと逃げるっていうのか?
そんな事をして何になる。言ってみろよ。
こっちとしては、ふざけるな・・・だ。」
確かに、困るだろう。
しかし、そんなのでは、俺も仁王も・・・・・・・。
「一人にさせて下さい。お願いします・・・・。」
何言ってんだよ。
こんな時間に・・・・しかも、好きな女を一人になんて、させられるか。
折角、会えたんだ。
こんな機会、滅多にあるわけないからな。
と、話をしたい。
だから、俺は、の腕を掴み歩き出した。